取引適正化に向けた5つの取組について

取引適正化に向けた5つの取組について

「第3回 未来を拓くパートナーシップ構築推進会議」がオンラインで行われ「取引適正化に向けた5つの取組」が公表されました。中小企業の賃上げ原資の確保や、エネルギー価格・原材料価格の上昇に対応するためにも、下請中小企業に公平・適切に付加価値が共有されるよう、「転嫁円滑化施策パッケージ」の着実な実施に加えて、大企業と下請中小企業との取引の更なる適正化に向け、次の5つの取組を実施していくとのことです。
「パートナーシップによる価値創造のための転嫁円滑化施策パッケージ」についてはこちらをご覧ください。
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/atarashii_sihonsyugi/pdf/partnership_package_set.pdf

■「転嫁円滑化パッケージ」の取組を具体化

1.価格交渉のより一層の促進
・下請振興法に基づく「助言(注意喚起)」の実施
令和3年9月に実施した価格交渉促進月間のフォローアップ結果を踏まえ、価格交渉・転嫁の状況の良くない個別の企業に対して実施。
・価格交渉促進月間の3月の実施(3月に実施し、4月にフォローアップを実施)
9月と並んで価格交渉の頻度の高い3月にも価格交渉促進月間を実施。
・下請振興法の振興基準を改正(年度内を想定)
原材料費やエネルギー価格の上昇による価格交渉に加え、最低賃金等の外的要因がない場合も、労務費上昇による価格交渉に応じるよう親事業者に促す。

2.パートナーシップ構築宣言の大企業への拡大、実効性の向上
・①宣言した企業全て、及び②下請取引企業に対するアンケート調査の実施
①は年度内に取り纏めて公表し、宣言内容の調達現場への浸透を促す。②は評価結果を公表・周知(2021年調査結果は本日公表
・コーポレートガバナンスに関するガイドラインへの位置づけ、補助金等によるインセンティブ拡充の検討

3.下請取引の監督強化
・下請Gメンの体制強化(4月から倍増予定)
下請Gメンを来年度倍増。また、アドバイス機能の強化(支援機関や補助金等の紹介)やAI等による取締りの効率化も検討。
・商工会・商工会議所と下請かけこみ寺の連携による相談体制の強化(年度内から実施)
下請かけこみ寺で収集した相談情報を端緒に下請Gメンのヒアリング等を実施。
・業種別ガイドライン・自主行動計画の拡充・改定等(順次実施)
取引上の問題のある業種や、新たな取引上の課題に対応するため、拡充・改定を随時実施。

4.知財Gメンの創設と知財関連の対応強化
・「知財Gメン」の新設(今年度内にヒアリングを開始)
知財関連の取引問題に専門的に対応。
・中小企業庁に「知財取引アドバイザリーボード」の設置(今年度内にも立ち上げ)
知財取引の専門家により構成し、個別企業への指導・助言の実施など知財関連の対応を強化。
・商工会議所、INPIT(工業所有権情報・研修館)等の関係機関との連携の強化(年度内から実施)

5.約束手形の2026年までの利用廃止への道筋
・各団体における自主行動計画の改定の要請
利用の廃止に向けた具体的なロードマップ(段取り、スケジュール等)の検討を依頼し、その反映を要請。
・約束手形の利用廃止に向け、異なる業種間での取引における課題など、他業種も含めて取り組まなければ解消できない課題の洗い出しなどを実施。中小企業庁において課題を整理し、それらの課題に対する対応も各業界の自主行動計画に盛り込むよう要請。
・2026年の手形交換所における約束手形の取扱い廃止の検討
金融業界に対して、産業界における約束手形利用廃止の取組状況を踏まえつつ、2026年に手形交換所における約束手形の取扱いを廃止することの可否について検討を開始するよう要請。

■価格交渉のより一層の促進

①業種別の対応
・フォローアップ調査の結果を業種別にまとめ、ランキング形式にして公表・各業界に周知。
・その上で、各業界に対し改善を要請し、自主行動計画への反映を依頼。

②個社単位での対応
・受注先中小企業が価格転嫁できている割合が低く、価格交渉への対応状況も良くない発注元企業に対して、下請中小企業振興法に基づく「助言」を活用し、個社単位で注意喚起を行う。
・「助言」を実施した企業に対しては、継続的に下請Gメン等を活用した価格交渉状況のフォローアップを実施し、改善が見られない場合には同法に基づく「指導」の活用も検討。

③価格交渉促進月間の継続的な実施
・9月と同様に価格交渉の頻度が高い3月も価格交渉促進月間として設定し、大企業と中小企業における価格交渉や価格転嫁の実現を促進。
・9月と3月を年2回の価格交渉促進月間として、業種別のランキングとりまとめや個別企業への「指導・助言」の実施、中小企業向けの講習会等を継続的に実施することで、価格交渉の慣習としての定着を図る。

■パートナーシップ構築宣言の大企業への拡大、実効性の向上

1.宣言内容の実効性向上
(1)宣言企業全社に書面調査を実施し、各社の取組をフォローアップ。
【調査内容】
①宣言内容の周知の状況
取引先全体に対する宣言内容の周知の状況、社内の調達部門に対する周知・教育の実施状況等
②取引適正化の重点5分野に関する取組等について
労務費や原材料費の上昇に関する価格交渉協議の実施状況、価格転嫁の達成状況
取引価格を上げる際の懸念点、その他工夫している取組等
③サプライチェーン全体の共存共栄に向けた取組
グリーン化(脱炭素化)に向けた取引先への支援状況
その他の社会課題に関する取組に向けた取引先への支援状況等

(2)下請事業者に対するアンケート調査も実施(本年度は価格交渉促進月間フォローアップ調査の中で実施)
・価格交渉促進月間FU調査の結果も踏まえ、宣言企業に対して、宣言内容の現場への浸透を促す。
・非宣言企業で上位に位置するような企業に対しても宣言をしていただくべく、引き続き宣言拡大に向けた周知等を実施。
・今後は、取引重点5課題も含めて、宣言企業の下請事業者に対して、取組状況についてアンケート調査を行い、下請取引の実態を対外的に示していくことを予定

2.コーポレートガバナンスに関するガイドラインへの位置付け
  コーポレート・ガバナンス・システムに関する実務指針においてパートナーシップ構築宣言が望ましい取組であること示す。

3.宣言企業の申請に対する補助金における加点
  経済産業省で実施している補助金の加点措置について、対象範囲を他省庁の補助金に拡大を検討。

■下請取引の監督強化

下請取引の監督強化に向け、下請Gメンの体制強化やアドバイス機能の強化等を図る
①下請Gメンを4月以増降倍し(120名⇒248名)し、年間1万件のヒアリングを実施
②下請Gメンの中小企業向けのアドバイス機能を充実させ、中小企業の価格転嫁力等の底上げ
③商工会・商工会議所と下請かけこみ寺との連携を強化し、相談体制を強化するとともに、下請かけこみ寺で収集した相談情報を端緒に下請Gメンのヒアリング等を実施
④これまで蓄積された書面調査や立入検査等のデータをAIに学習させ、自動的な優先順位付けなど、下請代金法の違反行為の取締効率を高めること等を検討
また、下請Gメンによるヒアリング等を踏まえ、取引上の問題が多く存在していると考えられる業種を選定し、業所管省庁や業界への働きかけを通じ、業種別ガイドライン・自主行動計画策定業種の拡充を随時行う。【令和4年1月現在で、下請ガイドラインは19業種、自主行動計画は18業種51団体で策定。】

■知財Gメンの創設と知財関連の対応強化

知財は中小企業にとって利益の源泉となる可能性がある一方、①中小企業の知財が親事業者に買いたたかれる事例や、②中小企業にとっても、知財は専門的で馴染みのないものであり、自ら有している技術やノウハウが保護すべき知財であることが認識されていない現状が存在。
これらを踏まえ、知財取引に関する問題意識や積極姿勢を多くの中小企業に醸成していくため、知財に関する取組を重点的に実施する体制を構築する。

1 「知財Gメン」の創設
・知財取引の適正化に対応するためのGメンの専門チーム(知財Gメン)を創設
・知財Gメンが中小企業から知財取引関連のヒアリングを実施し、問題事例などをとりまとめ

2「知的財産取引アドバイザリーボード」の設置
・弁護士・弁理士等の専門家による「知財取引アドバイザリーボード」を設置
・知財Gメン等によって収集した問題事例等について、親事業者への「指導・助言」の必要性について諮問

3 下請振興法に基づく「指導・助言」の積極的な実施
・アドバイザリーボードへの諮問結果を踏まえ、個別の親事業者に知財取引の適正化を働きかけるため、親事業者に下請振興法に基づく「指導・助言」を実施
・「指導・助言」を行った親事業者に対しては、継続的なフォローアップを実施

4 「知財総合支援窓口」等との連携、経営支援機能の強化
・知財総合支援窓口や商工会議所に寄せられた取引関係の問題を下請かけこみ寺につなぎ、取引問題に知見のある相談員の支援につなげるとともに、「知財Gメン」のヒアリングにつなげる体制の構築

■約束手形の利用廃止への道筋

2021年、18業種51団体において自主行動計画を改定・策定し、2026年までの約束手形の利用の廃止が目標として掲げられたところ。今後、この目標の達成に向けた具体的な取組の実施が必要。
今後、中小企業等の活力向上に関するワーキンググループ(官邸WG)において、以下の事項に関する所管業種への働きかけを関係省庁に依頼。
①約束手形の利用の廃止に向けた具体的なロードマップ(段取り、スケジュール等)を検討し、今夏を目処に各団体の自主行動計画へ反映する。
②業種をまたぐ取引上の課題(自らの業種だけではなく、他業種でも取り組んでもらわなければ解決できない問題)を洗い出し、春頃までに中小企業庁にフィードバックする。出てきた事項を中小企業庁でとりまとめ、各業界の自主行動計画への反映を要請する。
③金融業界に対して、産業界における約束手形利用廃止の取組状況を踏まえつつ、2026年に手形交換所における約束手形の取扱いを廃止することの可否について検討を開始するよう要請。

詳しくは、こちらをご覧ください。
参照ホームページ[経済産業省]
https://www.meti.go.jp/press/2021/02/20220210006/20220210006.html

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