国税庁より、「国税における新型コロナウイルス感染症拡大防止への対応と申告や納税などの当面の税務上の取扱いに関するFAQ」が更新され、10月23日付けでいくつかの問が追加されています。そのうち、所得税の所得控除のうち「医療費控除」に関して、マスク購入やPCR検査などの費用は医療費控除の対象になるのかどうか、国税庁が見解を示しています。
ポイントとしては次のとおりです。
・マスク購入は医療費控除の「対象外」
・PCR検査費用は「医師の判断」があれば「対象」、「自己判断」であれば「対象外」
下記は追加されたFAQの一部になります。
問12.《マスク購入費用の医療費控除の適用について》〔10月23日追加〕
私は、新型コロナウイルス感染症を予防するために、マスクを購入しましたが、この購入費用は、確定申告において医療費控除の対象となりますか。
〇医療費控除の対象となる医療費は、
①医師等による診療や治療のために支払った費用
②治療や療養に必要な医薬品の購入費用
などとされています(所得税法73条2項、所得税法施行令207条1項)。
〇ご質問のマスクについては、病気の感染予防を目的に着用するものであり、その購入費用はこれら①②のいずれの費用にも該当しないため、医療費控除の対象となりません。
※健康維持を目的とするビタミン剤の購入費用など病気の予防のための費用も医療費控除の対象となりません。
問12-2.《PCR検査費用の医療費控除の適用について》〔10月23日追加〕
私は、先日、新型コロナウイルス感染症のPCR検査を受けましたが、この検査費用は確定申告において医療費控除の対象となりますか。
〇医療費控除の対象となる医療費は、
①医師等による診療や治療のために支払った費用
②治療や療養に必要な医薬品の購入費用
などとされています(所得税法73条2項、所得税法施行令207条1項)。
【①:医師等の判断によりPCR検査を受けた場合】
〇新型コロナウイルス感染症にかかっている疑いのある方に対して行うPCR検査など、医師等の判断により受けたPCR検査の検査費用は、上記の費用に該当するため、医療費控除の対象となります。
〇ただし、医療費控除の対象となる金額は、自己負担部分に限りますので、公費負担により行われる部分の金額については、医療費控除の対象とはなりません。
【②:上記①以外の場合(自己の判断によりPCR検査を受けた場合)】
〇単に感染していないことを明らかにする目的で受けるPCR検査など、自己の判断により受けたPCR検査の検査費用は、上記のいずれの費用にも該当しないため、医療費控除の対象となりません。
〇ただし、PCR検査の結果、「陽性」であることが判明し、引き続き治療を行った場合には、その検査は、治療に先立って行われる診察と同様に考えることができますので、その場合の検査費用については、医療費控除の対象となります(所得税基本通達73-4参照)。
※医療費控除の適用を受ける場合は、医療費の領収書から「医療費控除の明細書」を作成し、確定申告書に添付してください。
医療保険者から交付を受けた医療費通知がある場合は、医療費通知を添付することによって「医療費控除の明細書」の記載を簡略化することができます。
なお、「医療費控除の明細書」の記載内容を確認するため、確定申告期限等から5年を経過する日までの間、医療費の領収書(医療費通知を添付したものを除きます。)の提示又は提出を求める場合があります。
問12-3.《オンライン診療に係る諸費用の医療費控除の適用について》
〔10月23日追加〕
私が通院している医療機関では、新型コロナウイルス感染症の感染防止のため、オンライン診療を導入しています。
このオンライン診療においては、自宅から医師の治療が受けられるのはもちろん、診療により処方された医薬品については、医療機関から私が希望した薬局に処方箋情報が送付され、その薬局から自宅への配送もできる仕組みとなっています。
オンライン診療は大変便利ですが、この仕組みを利用するためには、以下のとおり、オンライン診療料に係る費用のほか、システムの利用料の支払が必要となりますが、これらの支出は医療費控除の対象となりますか。
①オンライン診療料
②オンラインシステム利用料
③処方された医薬品の購入費用
④処方された医薬品の配送料
〇ご質問のオンライン診療に係る費用については、それぞれ次のとおりとなります。
①オンライン診療料
オンライン診療料のうち、医師等による診療や治療のために支払った費用については、医療費控除の対象となります(所得税法73条2項、所得税法施行令207条1項)。
②オンラインシステム利用料
医師等による診療や治療を受けるために支払ったオンラインシステム利用料については、オンライン診療に直接必要な費用に該当しますので、医療費控除の対象となります(所得税基本通達73-3参照)。
③処方された医薬品の購入費用
処方された医薬品の購入費用が、治療や療養に必要な医薬品の購入費用に該当する場合は、医療費控除の対象となります(所得税法73条2項、所得税法施行令207条1項2号)。
④処方された医薬品の配送料
医薬品の配送料については、治療又は療養に必要な医薬品の購入費用に該当しませんので、医療費控除の対象となりません。
医療費控除は、企業における年末調整の対象となりませんが、その後、社員自らが確定申告をしてこれを受ける社員も多いと思われます。
質問を受ける場合があるかもしれませんので、確認しておきましょう。
詳しくは、こちらをご覧ください。
参照ホームページ[国税庁]
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/kansensho/faq/pdf/faq.pdf
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