【労務】雇用保険の高年齢被保険者の特例の創設と、その特例に関する省令の改正

「雇用保険法施行規則の一部を改正する省令(令和3年厚生労働省令第125号)」が公布されました。来年(2022年)1月1日より「65歳以上の労働者を対象に本人の申出を起点に、2つの事業所の労働時間を合算して『週の所定労働時間が20時間以上である』ことを基準として雇用保険を適用する制度」が施行されることとなり、省令案には制度の対象者となる要件が公表されています。この改正省令による改正の概要等は次のとおりです。

■改正の趣旨・経緯

○雇用保険法等の一部を改正する法律(令和2年法律第14号)により、高年齢被保険者の特例(※)に関する規定が令和4年1月1日から施行される。

(※)複数の事業主に雇用される65歳以上の労働者について、本人の申出を起点に、2つの事業所の労働時間を合算して、「週の所定労働時間が20時間以上である」ことを基準として雇用保険を適用する制度。

この制度の対象者となる要件は次のとおり(雇用保険法第37条の5第1項各号)。

① 2つ以上の事業主の適用事業に雇用される65歳以上の者
② 上記①のそれぞれ1つの事業主の適用事業における1週間の所定労働時間が20時間未満
③ 上記①のうち2つの事業主の適用事業における1週間の所定労働時間の合計が20時間以上

(厚生労働省令で定める時間数以上のものを合算)

○これに伴い、雇用保険法施行規則の一部の規定について所要の整備を行うこととされた。

1 省令の改正の概要

〇「2つの事業主の適用事業における1週間の所定労働時間の合計が20時間以上」を判断する際、各事業主の適用事業における1週間の所定労働時間については、厚生労働省令で定める時間数以上であるものを合計の対象とするが、その厚生労働省令で定める時間数は「5時間」とする。
○高年齢被保険者の特例の申出により高年齢被保険者となろうとする者又はなった者について、合算した週の所定労働時間等の就業状況を、その雇用する事業主が把握し、各種の手続を行うことは困難であるため、通常事業主がその事業所を管轄する公共職業安定所に対して行う雇用保険に関する事務について、当該労働者本人が本人の住居所を管轄する公共職業安定所に対して行うこととし、これに伴う所要の規定の整備を行う。
○また、改正法において、介護休業給付及び育児休業給付については、すべての事業所において休業していることを要件としたことなどを踏まえ、所要の規定の整備を行う。

2 施行期日

令和4年1月1日から施行

<現行制度>

○1事業所で週所定労働時間が20時間以上の者は適用する。
○複数の事業所で就労する場合は、それぞれの事業所ごとに適用要件を判断する(労働時間を合算しない)。

<主な改正内容>

〇65歳以上の者を対象として、本人の申出を起点として2つの事業所の労働時間を合算して適用する制度を試行する。

(逆選択やモラルハザード等を施行後5年を目途に検証。)

(参考)マルチジョブホルダーの資格取得・喪失の流れ

(注)HW=ハローワーク、MHLW=Ministry of Health, Labour and Welfare、厚生労働省

詳しくは、こちらをご覧ください。

参照ホームページ[厚生労働省]

https://www.mhlw.go.jp/content/11601000/000794806.pdf

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