【経営】「『ポストコロナ』時代におけるテレワークの在り方検討タスクフォース」提言書の公表

総務省では、「ポストコロナ」時代におけるテレワークに関し、目指すべき「日本型テレワーク」に関し再整理するとともに、テレワークの導入・定着に向け、ICTを活用した課題の解決方法等について検討すること等を目的に、「『ポストコロナ』時代におけるテレワークの在り方検討タスクフォース」を開催してきました。今般、本タスクフォースにおいて提言書が取りまとめられたので公表します。

1.経緯等

本タスクフォースでは、テレワークという働き方の位置付けが、新型コロナウイルス感染症の拡大により歴史的転換を迎えたことを踏まえ、新型コロナ感染症の先の時代(ポストコロナ時代)を見据え、日本が目指すべきテレワークの在り方を再整理し、その定着に向けて、国や企業が取り組むべき事項について幅広く検討を行ってきました。

今般、これまでの検討の結果を踏まえ、「「ポストコロナ」時代におけるテレワークの在り方検討タスクフォース」提言書が取りまとめられたので公表します。

2.提言書

■目指すべき「日本型テレワーク」の在り方

今般、新型コロナウイルス感染症の拡大への対応方策として、多くの企業・団体において、これまでにない規模でテレワークが導入されたが、緊急事態宣言が解除されるとテレワークの実施率が下がる傾向にある。すなわち、経営者の視点では、テレワークを社会的要請に基づくコロナ下の緊急時の対応(出勤抑制の手段)としてやむを得ず取り組むものと捉えている傾向が見られる。

過去にも、新型インフルエンザや東日本大震災といった危機への対応としてテレワークが注目を浴び、その実施率やメディアでの露出が高まったことはあるが、「流行っては廃れる」を繰り返してきており、制度があっても利用している人が少なく、まさに「仏作って魂入らず」といった状況となっている。

海外においては、労働者から継続的なテレワークを希望する声は多く、今般の新型コロナウイルス感染症への対応を契機としてテレワークの定着が進んでいると言われている。日本においても継続的なテレワークの実施を希望する労働者は多いが、特に中高年の管理職の間には、同じ場所と時間を共有する大部屋主義、対面主義、暗黙知等の利点を過度に意識し、テレワークへの不信感(バイアス)が根強く残っている。

また、昨年度の緊急事態宣言を受け、十分な準備や移行期間がないままにテレワークを導入した結果として、生産性が低下していると感じる労働者も多く、このことはテレワークの課題として挙げられる。(テレワークを長く実施していた企業・団体においては生産性の低下は限定的との指摘もある。)

以上を踏まえると、新型コロナウイルスのワクチン接種が進むにつれ、企業の明確な意思決定がないまま、なし崩し的に出社が増え、これまで同様、テレワークが定着しない可能性が非常に高いのではないかと危惧される。

そもそもテレワークとは、現下の新型コロナウイルス感染症への対応策といった業務継続性の確保(BCP4)の観点から「職場と異なる場所で働く」という単に「場所」に着目した概念(リモートワーク)ではなく、「ICTを活用し、時間や場所を有効に活用できる柔軟な働き方」である。

このことにより、テレワークは、急速な少子高齢化、それに伴う生産年齢人口の大幅な減少など、社会構造の大きな変化によって生じる日本の様々な社会課題の解決に寄与するものであるという認識が極めて重要である。具体的には、テレワークは、様々な人々に対し、より多くの労働参加の機会を提供する有効な方策となるだけでなく、地方への人の流れを創出することによる地域活性化や人生100年時代を見据えた多様な働き方の実現にも資するものである。

また、「時間を有効に活用する」ということも踏まえ、長く働くことが評価されるというのではなく、テレワークにより移動時間等がなくなったことでできた時間を自分や家族のために使うことができるよう、時間あたりの業務効率を高める方向に向かうべきである。テレワークで長時間労働が増えることはあってはならない。長時間労働になってしまえば、「業務効率を高める」「労働力を生かす」「ウェルビーイング」とは逆行することになる。

次にICTツールの積極的な活用である。テレワークを実施するに当たって、単にテレワーク可能な仕事を切り分けるというやり方は調整コストが発生し生産性の低下を招くおそれがある。仕事を切り分けるのではなく、テレワークを契機として、ICTツールの積極的な活用、業務の見直し(BPR)、DXの推進を併せて行うことが目指すべき方向性である。

その結果、必要な人や可能な人だけがテレワークを行うといった偏ったテレワークや、出社する社員と比べてテレワークを実施する社員に不利な扱いがなされるという不公平が回避され、「フェアなテレワーク」を実現することが可能となる。

特に日本では、水平的なコーディネーション、インフォーマルなコミュニケーション、チームとしての力といった日本型の働き方、そして、それらと密接に結びついた押印をはじめとしたアナログな業務がテレワークを実施する上でのボトルネックと位置付けられることも多い。成果主義やジョブ型雇用がテレワークに親和的であるとの意見もあるが、評価制度や雇用制度のみを変更しても、それらのボトルネックを解消することはできない。それ以上に、テレワークを契機としたICTツールの積極的な活用、BPR、DXを推進することで、日本型の働き方の強みを更に発揮できる「日本型テレワーク」を実現することができる。例えば、リーダーによるコミュニケーションの質の向上や、社員が何でも言える、何でも聞いてもらえると感じられる「心理的安全性」を確保することにより、一つのチームとしての力を発揮することが可能となる。

[日本型テレワーク]

1.日本の様々な社会課題の解決に寄与

・急速な少子高齢化、生産年齢人口の減少等の課題に対応

・時間あたり生産性の向上

2.テレワークを契機としたICTツールの積極的な活用、BPR、DXの推進

・情報を共有しているという感覚や一体感の醸成、インフォーマルなコミュニケーションを促進する場をバーチャルに補完

・日本型の働き方の「強み」をより活かす

・心理的安全性の強化

3.ソーシャリゼーションへの配慮

・育成期においては一律テレワークではなく、対面機会を計画的に設ける工夫

4.世代間ギャップを埋めるための工夫

・無駄な出社への同調圧力の排除

・企業レベルでテレワークに係るビジョンを策定

・組織の風通しを良くするための組織開発/コミュニケーション促進施策の実施

5.ウェルビーイングの向上

・個人単位のウェルビーイングに加え、組織による協働的なウェルビーイング

詳しくは、こちらをご覧ください。

参照ホームページ[総務省]

https://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01ryutsu02_02000320.html

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