国税庁より、「在宅勤務に係る費用負担等に関するFAQ(源泉所得税関係)」が公表

国税庁から、「在宅勤務に係る費用負担等に関するFAQ(源泉所得税関係)」が公表されています。テレワークのうち在宅勤務では、費用負担についてのトラブルが散見されています、このFAQでは、在宅勤務に係る費用負担等について、税制上の取扱いで質問が多い事項などを取りまとめたものとなっております。

 

■在宅勤務に係る費用負担等に関するFAQ(源泉所得税関係)

1 在宅勤務手当

〔問1〕 企業が従業員に在宅勤務手当を支給した場合は、従業員の給与として課税する必要はありますか。

 

〔答〕

在宅勤務に通常必要な費用について、その費用の実費相当額を精算する方法により、企業が従業員に対して支給する一定の金銭については、従業員に対する給与として課税する必要はありません(【問3】参照)。

なお、企業が従業員に在宅勤務手当(従業員が在宅勤務に通常必要な費用として使用しなかった場合でも、その金銭を企業に返還する必要がないもの(例えば、企業が従業員に対して毎月5,000円を渡切りで支給するもの))を支給した場合は、従業員に対する給与として課税する必要があります。

 

 

2 在宅勤務に係る事務用品等の支給

〔問2〕 在宅勤務を開始するに当たって、企業が従業員に事務用品等(パソコン等)を支給した場合は、従業員の給与として課税する必要はありますか。

 

〔答〕

企業が所有する事務用品等を従業員に貸与する場合には、従業員に対する給与として課税する必要はありませんが、企業が従業員に事務用品等を支給した場合(事務用品等の所有権が従業員に移転する場合)には、従業員に対する現物給与として課税する必要があります(従業員が立替払いにより事務用品等を購入する場合は、【問3】①参照)。

 

上記の「貸与」については、例えば、企業が従業員に専ら業務に使用する目的で事務用品等を「支給」という形で配付し、その配付を受けた事務用品等を従業員が自由に処分できず、業務に使用しなくなったときは返却を要する場合も、「貸与」とみて差し支えありません。

 

 

3 業務使用部分の精算方法

〔問3〕 在宅勤務に通常必要な費用を精算する方法による場合は、従業員に対する給与として課税する必要がないとのことですが、その方法とはどのようなものですか。

 

〔答〕

在宅勤務手当としてではなく、企業が在宅勤務に通常必要な費用を精算する方法により従業員に対して支給する一定の金銭については、従業員に対する給与として課税する必要はありません。

この方法としては、次の方法が考えられます。

 

① 従業員へ貸与する事務用品等の購入(注1)

イ 企業が従業員に対して、在宅勤務に通常必要な費用として金銭を仮払いした後、従業員が業務のために使用する事務用品等を購入し、その領収証等を企業に提出してその購入費用を精算(仮払金額が購入費用を超過する場合には、その超過部分を企業に返還(注2))する方法

 

ロ 従業員が業務のために使用する事務用品等を立替払いにより購入した後、その購入に係る領収証等を企業に提出してその購入費用を精算(購入費用を企業から受領)する方法

 

② 通信費・電気料金

イ 企業が従業員に対して、在宅勤務に通常必要な費用として金銭を仮払いした後、従業員が家事部分を含めて負担した通信費や電気料金について、業務のために使用した部分を合理的に計算し(【問4】、【問5】及び【問6】参照)、その計算した金額を企業に報告してその精算をする(仮払金額が業務に使用した部分の金額を超過する場合、その超過部分を企業に返還する(注2))方法

 

ロ 従業員が家事部分を含めて負担した通信費や電気料金について、業務のために使用した部分を合理的に計算し(【問4】、【問5】及び【問6】参照)、その計算した金額を企業に報告してその精算をする(業務のために使用した部分の金額を受領する)方法

 

(注)1 ①の事務用品等については、企業がその所有権を有し従業員に貸与するものを前提としています。事務用品等を従業員に貸与するのではなく支給する場合(事務用品等の所有権が従業員に移転する場合)には、従業員に対する現物給与として課税する必要があります(【問2】参照)。

(注)2 企業が従業員に支給した在宅勤務手当のうち、購入費用や業務に使用した部分の金額を超過した部分を従業員が企業に返還しなかったとしても、その購入費用や業務に使用した部分の金額については従業員に対する給与として課税する必要はありませんが、その超過部分は従業員に対する給与として課税する必要があります。

 

 

4 通信費に係る業務使用部分の計算方法

〔問4〕 従業員が負担した通信費について、在宅勤務に要した部分を支給する場合、業務のために使用した部分はどのように計算すればよいですか。

 

〔答〕

〇 電話料金

イ 通話料

通話料(下記ロの基本使用料を除きます。)については、通話明細書等により業務のための通話に係る料金が確認できますので、その金額を企業が従業員に支給する場合には、従業員に対する給与として課税する必要はありません。

なお、業務のための通話を頻繁に行う業務に従事する従業員については、通話明細書等による業務のための通話に係る料金に代えて、例えば、次の【算式】により算出したものを、業務のための通話に係る料金として差し支えありません。

(注)業務のための通話を頻繁に行う業務とは、例えば、営業担当や出張サポート担当など、顧客や取引先等と電話で連絡を取り合う機会が多い業務として企業が認めるものをいいます。

ロ 基本使用料

基本使用料などについては、業務のために使用した部分を合理的に計算する必要があります。

例えば、次の【算式】により算出したものを企業が従業員に支給する場合には、従業員に対する給与として課税しなくて差し支えありません。

 

〇 インターネット接続に係る通信料

基本使用料やデータ通信料などについては、業務のために使用した部分を合理的に計算する必要があります。

例えば、次の【算式】により算出したものを企業が従業員に支給する場合には、従業員に対する給与として課税しなくて差し支えありません。

(注)従業員本人が所有するスマートフォンの本体の購入代金や業務のために使用したと認められないオプション代等(本体の補償料や音楽・動画などのサブスクリプションの利用料等)を企業が負担した場合には、その負担した金額は従業員に対する給与として課税する必要があります。

(注)上記の算式によらずに、より精緻な方法で業務のために使用した基本使用料や通信料の金額を算出し、その金額を企業が従業員に支給している場合についても、従業員に対する給与として課税しなくて差し支えありません。

 

 

5 通信費の業務使用部分の計算例

〔問5〕 企業が、従業員に対して、次のとおり従業員本人が所有するスマートフォンに係る料金4,800円(令和2年9月分)を支給し、上記【問4】により業務使用部分の計算をすることとした場合の課税関係について教えてください。

・基本使用料:3,000円(3GBまで無料)

・データ通信料:1,000円(3GB超過分)

・業務使用に係る通話料(通話明細書より):800円

・在宅勤務日数:15日

※上記金額は全て消費税等込みの価格。

 

〔答〕

ご質問の場合、次のとおり、基本使用料とデータ通信料のうち業務のために使用した部分の金額を除いた金額3,000円について、従業員に対する給与として課税する必要があります。

① 通話明細書より確認した業務使用に係る通話料(800円)については、課税する必要はありません。

② 基本使用料やデータ通信料については、次の算式により算出した金額(3,000円)を、従業員に対する給与として課税する必要があります。

6 電気料金に係る業務使用部分の計算方法

〔問6〕 従業員が負担した電気料金について、在宅勤務に要した部分を支給する場合、業務のために使用した部分はどのように計算すればよいですか。

 

〔答〕

基本料金や電気使用料については、業務のために使用した部分を合理的に計算する必要があります。

例えば、次の【算式】により算出したものを従業員に支給した場合には、従業員に対する給与として課税しなくて差し支えありません。

 

【算式】

※ 上記算式の「1/2」については、【問4】参照。

(注)上記の算式によらずに、より精緻な方法で業務のために使用した基本料金や電気使用料の金額を算出し、その金額を企業が従業員に支給している場合についても、従業員に対する給与として課税しなくて差し支えありません。

 

 

7 レンタルオフィス

〔問7〕 当社では、自宅に在宅勤務をするスペースがない従業員に対して、自宅近くのレンタルオフィス等で在宅勤務をすることを認めています。このレンタルオフィス代等を従業員が立替払いし、そのレンタルオフィス代等に係る領収証等の提出を受けてその代金の精算をした場合、その精算をした金額について従業員に対する給与として課税する必要はありますか。

 

〔答〕

従業員が、勤務時間内に自宅近くのレンタルオフィス等を利用して在宅勤務を行った場合、①従業員が在宅勤務に通常必要な費用としてレンタルオフィス代等を立替払いし、かつ、②業務のために利用したものとして領収書等を企業に提出してその代金が精算されているものについては、従業員に対する給与として課税する必要はありません(企業が従業員に金銭を仮払いし、従業員がレンタルオフィス代等に係る領収証等を企業に提出し精算した場合も同じです。)。

 

 

詳しくは、こちらをご覧ください。

 

 

参照ホームページ[国税庁]

https://www.nta.go.jp/publication/pamph/pdf/0020012-080.pdf

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