障害者雇用を促進するため、企業には常用雇用労働者の人数に対し、一定の割合の障害者を雇用する義務が課せられています。この割合のことを法定雇用率と呼び、2021年3月1日より引上げられます。また、障害者雇用に関して、今年4月より障害者雇用に関する優良な取り組みを行う中小企業への認定制度が始まっています。
■2021年3月1日からの法定雇用率
現時点では、民間企業の障害者の法定雇用率は2.2%とされており、常用雇用労働者45.5人以上の企業において1人以上の障害者を雇用する義務が課せられています。これが、2021年3月1日より2.3%へ引上げられ、対象となる企業の範囲が、常用雇用労働者43.5人以上に広がります。
この常用雇用労働者とは、正社員だけでなく一定の条件を満たす短時間労働者も含まれ、具体的には週所定労働時間が30時間以上の労働者を1人として、20時間以上30時間未満の労働者については1人を0.5人としてカウントして常用雇用労働者数を算出します。
また、その事業主には、以下の義務があります。
◆毎年6月1日時点の障害者雇用状況をハローワークに報告しなければなりません。
◆障害者の雇用の促進と継続を図るための「障害者雇用推進者」を選任するよう努めなければなりません。
■もにす認定制度とは
今年4月より、障害者雇用の促進および雇用の安定に関する取り組みの実施状況などが優良な中小企業を厚生労働大臣が認定する制度「もにす認定制度(https://www.mhlw.go.jp/stf/monisu_00001.html)」が実施されています。この認定制度では、認定を受けた企業が障害者雇用における身近なロールモデルとして認知されることで、地域における障害者雇用の取り組みがより一層の推進されることが期待されています。企業として認定されるメリットとしては以下の内容が挙げられています。
・自社の商品、サービスおよび広告などに認定マークを使用できる。
・厚生労働省、都道府県労働局およびハローワークによる周知広報の対象となる。
・日本金融公庫の低利融資対象となる。
・公共調達などの加点評価を受けることができる場合がある。
2020年10月21日に初の認定事業主が誕生し、3社が認定されました。なお、この「もにす認定制度」の対象となる中小企業とは、常時雇用する労働者が300人以下の事業主のことで、労働者数が45.5人未満であるために法定雇用障害者数が0人の事業主、株式会社以外の法人(社会福祉法人など)や個人事業主も申請を行うことが可能です。
法定雇用率の引上げにより、障害者を雇用しなければならない範囲に該当する企業で、障害者雇用ができていない場合は、雇用の取り組みを検討しましょう。
■Q&A
Q1.障害者雇用納付金の取り扱いはどうなるのでしょうか?
A1.①令和2年度分の障害者雇用納付金について(※申告期間:令和3年4月1日から同年5月15日までの間)
令和3年2月以前については現行の法定雇用率(2.2%)、
令和3年3月のみ新しい法定雇用率(2.3%)で算定することになります。
②令和3年度分の障害者雇用納付金について(※申告期間:令和4年4月1日から同年5月15日までの間)
新しい法定雇用率(2.3%)で算定することになります。
Q2.障害者を雇用する場合に活用できる支援制度はありますか?
A2.障害者雇用のための各種助成金や職場定着に向けた人的支援など、様々な支援制度をご利用いただけます。サポートを実施している機関は様々ありますので、まずは事業所管轄のハローワークにご相談ください。
▶「障害者雇用のご案内」:https://www.mhlw.go.jp/content/000691446.pdf
詳しくは、こちらをご覧ください。
参照ホームページ[厚生労働省]
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/shougaishakoyou/index.html
この記事へのコメントはありません。