新型コロナウイルス感染症の影響を受け、事業の一時的な縮小などを行う企業が、人手不足などの企業との間で「在籍型出向」を活用して従業員の雇用維持を図る取り組みがみられています。厚生労働省では、こうしたコロナ禍における雇用維持を目的とした在籍型出向の取り組みを支援するため、地域の関係機関等と連携することなどにより、出向情報やノウハウの共有、出向の送り出し企業や受け入れ企業の開拓などを推進しています。また、助成金(産業雇用安定助成金)を用意して、そのような在籍型出向を推進しており、新たなリーフレットと、ハンドブック(第2版)を公表し、さらなる周知を図っています。
■「在籍型出向」とは?
在籍型出向とは、出向元企業と出向先企業との間の出向契約によって、労働者が出向元企業と出向先企業の両方と雇用契約を結び、一定期間継続して勤務することをいいます。
在籍型出向は、出向先企業と出向労働者との間に雇用契約関係があるため、労働者派遣には該当しません。(下図参照)
■「在籍型出向」の事例
新型コロナウイルスが同業種の企業の景況に影響を与えていることから、異業種の企業へ出向している事例が見られます。また、異業種であっても、仕事の内容に親和性があることが多くなっており、大企業だけでなく、規模の小さな企業でも出向に取り組んでいる事例が少なくありません。
※図は、左が出向元企業、右が出向先企業
■「在籍型出向」のメリット
実際に在籍型出向を実施した企業(出向元・出向先)や出向労働者へのアンケート結果です。※産業雇用安定助成金活用企業へのアンケート調査(令和3年8月厚生労働省調べ)
【出向元企業】
・出向労働者の労働意欲の維持・向上につながる(63%)
・出向労働者のキャリア形成・能力開発につながる(59%)
・出向期間終了後、出向労働者が自社に戻ってくることが確実である(56%)
・出向労働者への刺激になり、自社の業務改善や職場活性化に期待ができる(50%)
【出向先企業】
・人手不足が解消され、自社の従業員の業務負担を軽減できる(75%)
・社会人としての基礎スキルや職務に必要な職業能力を持った人材を確保できる(52%)
・自社の従業員への刺激になり、業務改善や職場活性化が期待できる(42%)
・新たに採用するよりも人材育成のコストを抑制できる(38%)
【出向労働者】
・出向先での新しい仕事の経験がキャリアアップ・能力開発につながる(57%)
・出向元での雇用が維持されているので安心して働くことができる(46%)
・これまでどおりの収入を確保できたため生活面の安定が図られる(38%)
詳しくは、こちらをご覧ください。
参照ホームページ[厚生労働省]
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/jigyounushi/page06_00001.html
この記事へのコメントはありません。