【経営】「令和2年労働安全衛生調査(実態調査)」の結果が公表

厚生労働省から、「令和2年 労働安全衛生調査(実態調査)」の結果が公表されました。労働安全衛生調査は、労働災害防止計画の重点施策を策定するための基礎資料及び労働安全衛生行政運営の推進に資することを目的として、周期的にテーマを変えて実施されているものです。令和2年においては、「実態調査」として、事業所が行っている安全衛生管理、労働災害防止活動及びそこで働く労働者の仕事や職業生活における不安やストレス、受動喫煙等の実態について、調査が行われました(前回は平成30年)。

調査結果のポイントは次のとおりです。

<事業所調査>

1 メンタルヘルス対策に関する事項

(1) メンタルヘルス不調により連続1か月以上休業した労働者又は退職した労働者の状況

過去1年間(令和元年11月1日から令和2年10月31日までの期間)にメンタルヘルス不調により連続1か月以上休業した労働者又は退職した労働者がいた事業所の割合は9.2%[平成30年調査10.3%]となっている。

このうち、連続1か月以上休業した労働者がいた事業所の割合は7.8%[同6.7%]、退職した労働者がいた事業所の割合は3.7%[同5.8%]となっている。

また、メンタルヘルス不調により連続1か月以上休業した労働者の割合は0.4%[同0.4%]、退職した労働者の割合は0.1%[同0.2%]となっている。

(2) メンタルヘルス対策への取組状況

メンタルヘルス対策に取り組んでいる事業所の割合は61.4%[平成30年調査59.2%]となっており、前回調査より2.2ポイント上昇した。

メンタルヘルス対策に取り組んでいる事業所について、取組内容(複数回答)をみると、「労働者のストレスの状況などについて調査票を用いて調査(ストレスチェック)」が62.7%[同62.9%]と最も多く、次いで「職場環境等の評価及び改善(ストレスチェック後の集団(部、課など)ごとの分析を含む)」が55.5%[同32.4%]となっている。

(3) ストレスチェック結果の活用状況

ストレスチェックを実施した事業所のうち、結果の集団(部、課など)ごとの分析を実施した事業所の割合は78.6%[平成30年調査73.3%]であり、その分析結果を活用した事業所の割合は79.6%[同80.3%]となっている。

2 化学物質のばく露防止対策に関する事項

(1) 化学物質を取り扱う際のリスクアセスメントの実施状況

化学物質を取り扱っている(製造、譲渡・提供、使用)事業所の割合は13.2%となっている。

労働安全衛生法第57条の2に該当する化学物質を使用している事業所のうち、リスクアセスメントをすべて実施している事業所の割合は68.5%、同条の事業所には該当しないが、危険有害性がある化学物質(労働安全衛生法第28条の2第1項の規定に基づいてリスクアセスメントを行うことが努力義務とされている化学物質)を使用している事業所のうち、リスクアセスメントをすべて実施している事業所の割合は57.1%となっている。

(2) 化学物質を製造又は譲渡・提供する際の容器・包装へのGHSラベルの表示状況

化学物質を製造又は譲渡・提供している事業所の割合は2.4%となっている。

労働安全衛生法第57条に該当する化学物質を製造又は譲渡・提供している事業所のうち、すべての製品の容器・包装にGHSラベルを表示している事業所の割合は62.4%、同条の事業所には該当しないが、危険有害性がある化学物質(労働安全衛生規則第24条の14で譲渡・提供者に危険有害性の表示が努力義務とされている化学物質)を製造又は譲渡・提供している事業所のうち、すべての製品の容器・包装にGHSラベルを表示している事業所の割合は53.6%となっている。

GHS(Globally Harmonized System of Classification and Labelling of Chemicals)とは、化学品の危険有害性(ハザード)ごとに分類基準及びラベルや安全データシートの内容を調和させ、世界的に統一されたルールとして提供するものです。GHSは2003年7月に国際連合から勧告され、その後定期的な更新が行われています。日本を含め各国で、化学品の分類や表示についてGHSを導入して行っています。

詳しくはパンフレット「GHS」をご覧下さい。

http://www.env.go.jp/chemi/ghs/pamphlet.html

 

(3) 化学物質を製造又は譲渡・提供する際の安全データシート(SDS)の交付状況

労働安全衛生法第57条の2に該当する化学物質を製造又は譲渡・提供している事業所のうち、すべての製品に安全データシート(SDS)を交付している事業所の割合は71.5%、同条の事業所には該当しないが、危険有害性がある化学物質(労働安全衛生規則第24条の15で譲渡・提供者に危険有害性の通知が努力義務とされている化学物質)を製造又は譲渡・提供している事業所のうち、すべての製品に安全データシート(SDS)を交付している事業所の割合は62.2%となっている。

3 受動喫煙防止対策に関する事項

事業所における禁煙・分煙状況について、屋外を含めた敷地内全体を全面禁煙にしている事業所の割合は30.0%[平成30年調査13.7%]となっている。

健康増進法における施設分類の種類別にみると、第一種施設(学校・病院など受動喫煙により健康を損なうおそれが高い者が主として利用する施設)では「屋外を含めた敷地内全体を全面禁煙にしている」が63.1%、第二種施設(第一種施設及び喫煙目的施設以外の施設)では「屋内を全面禁煙として、屋外喫煙所を設置している」が49.2%とそれぞれ最も多くなっている。

屋外を含めた敷地内全体を全面禁煙にしていない事業所について、受動喫煙を防止するための取組を進めている事業所の割合は54.1%となっている。

このうち、取組内容(複数回答)をみると、「受動喫煙を望まない者が加熱式たばこ喫煙専用室での業務や飲食を避けるよう配慮している」が27.2%、次いで「20歳以上の労働者に対する措置」のうち「業務用車両内での喫煙時における周知啓発」が27.0%となっている。

4 長時間労働者に対する取組に関する事項

令和2年7月1日が含まれる1か月間の時間外・休日労働時間数が45時間超80時間以下の労働者がいた事業所の割合は16.3%[平成30年調査25.0%]、80時間超の労働者がいた事業所の割合は2.5%[同7.0%]となっている。

これらの長時間労働者がいた事業所のうち、面接指導の申し出があった長時間労働者に対する医師による面接指導の実施状況をみると、面接を実施した事業所の割合は、45時間超80時間以下の労働者がいた事業所は78.9%、80時間超の労働者がいた事業所は95.4%となっている。

5 高年齢労働者・外国人労働者に対する労働災害防止対策に関する事項

(1) 高年齢労働者に対する労働災害防止対策の状況

60歳以上の高年齢労働者が従事している事業所の割合は74.6%となっており、このうち高年齢労働者に対する労働災害防止対策に取り組んでいる事業所の割合は81.4%となっている。

取組内容(複数回答)別にみると、「本人の身体機能、体力等に応じ、従事する業務、就業場所等を変更」が45.7%、「作業前に体調不良等の異常がないかを確認」が38.7%となっている。

(2) 外国人労働者に対する労働災害防止対策の状況

外国人労働者が従事している事業所の割合は14.4%となっており、このうち外国人労働者に対する労働災害防止対策に取り組んでいる事業所の割合は89.8%となっている。

取組内容(複数回答)別にみると、「定期的に必要な健康診断を受診させている」が62.3%、「外国人労働者にわかる言語で説明するなど、作業手順を理解させている」が49.8%となっている。

<個人調査>

1 仕事や職業生活における不安やストレスに関する事項

(1) 仕事や職業生活に関するストレス

現在の仕事や職業生活に関することで、強い不安やストレス(以下「ストレス」という。)となっていると感じる事柄がある労働者の割合は54.2%[平成30年調査58.0%]となっている。

ストレスとなっていると感じる事柄がある労働者について、その内容(主なもの3つ以内)をみると、「仕事の量」が42.5%と最も多く、次いで「仕事の失敗、責任の発生等」が35.0%、「仕事の質」が30.9%となっている。

(2) 仕事や職業生活に関する不安、悩み、ストレスについて相談できる人の有無等

現在の自分の仕事や職業生活でのストレスについて相談できる人がいる労働者の割合は90.8%[平成30年調査92.8%]となっている。

ストレスを相談できる人がいる労働者について、相談できる相手(複数回答)をみると、「家族・友人」が78.5%[同79.6%]と最も多く、次いで「上司・同僚」が73.8%[同77.5%]となっている。

これを男女別にみると「家族・友人が」男性74.2%、女性83.6%、「上司・同僚」が男性79.6%、女性66.9%となっている。

また、ストレスについて相談できる相手がいる労働者のうち、実際に相談した労働者の割合は74.1%[同80.4%]となっており、相談した相手(複数回答)をみると、「家族・友人」が73.5%[同76.3%]と最も多く、次いで「上司・同僚」が67.6%[同69.7%]となっている。

これを男女別にみると「家族・友人が」男性66.8%、女性81.0%、「上司・同僚」が男性74.0%、女性60.5%となっている。

2 喫煙に関する事項

職場で受動喫煙がある労働者の割合は、「ほとんど毎日ある」7.6%[平成30年調査9.3%]、「ときどきある」12.5%[同19.6%]を合わせて20.1%[同28.9%]となっている。

このうち、職場の受動喫煙に関して、「不快に感じること、体調が悪くなることがある」とする労働者の割合は39.2%[同43.2%]となっている。

詳しくは、こちらをご覧ください。

参照ホームページ[厚生労働省]

https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/r02-46-50b.html

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